メーデー,May Day,なぜ今は世界的に『労働者の日』?

メーデー(May Day)、古代ローマのお祭りがなぜ今は世界的に『労働者の日』?

国際的に5月1日に指定されているメーデーは、労働者の日(Labor Day 或いはWorkers’ Day)となっている。日本でも1920年以来この日をかりて、労働団体による街頭演説などが行われていた歴史がある。起源は古代ローマの共和制時代に行われていた花の女神フローラの祭り『Floralia』や、帝政時代に行われていたバッカスとビーナスのあやしい夜の祭典『Maiuma』だと言われており、5月の春の全盛や夏の訪れといった季節の変わり目を祝うお祭りだった。これは日本でも、『子供の日』の起源が『端午の節句』という季節の節目に無病息災、豊作、子孫繁栄などを祈願して神様に供物をしたりするお祭りだったことによく似ている。

それではなぜ5月1日が国際的に労働者の日になったのか。これはシカゴで労働者たちと警察との間に起こった血なまぐさい暴動事件が発端であった。

イリノイ州のシカゴではすでに1867年の5月1日以来8時間労働制が取り入れられていたが、19年後の1886年5月1日、このイリノイ州の8時間労働制をアメリカ全土に普及させようと、労働組合連盟がシカゴでそれを要求するストライキを行っていた。つまり当時多くの人々は1日に10時間から13時間労働を強いられていたのだ。この時、集まった民衆を鎮圧させるために警察が銃を発砲したため、市民の中から死傷者がでる。この警察の権力の乱用に反発したデモが5月4日に起こると、暴動の中から何者かが爆弾を投げたために6人の警察官が死亡、多くの人々が負傷した。これはアメリカ合衆国において初めてのダイナマイトによる反撃事件である。いよいよ激しく暴動を起こす民衆に対して警察は銃を乱射する事態にまで発展していった。その犠牲者の数や、誰が爆弾を投げたのかなどの真相は明らかにされぬまま闇に沈んでいった。またその時、デモのリーダーや多くの参加者たちは拘束され、その中の4人は不公正な裁判によって絞首刑となった。

つまり5月1日は、多くの人々の犠牲の上に守られてきた労働者の権利を思い起こすための日なのだ。今や、『International Labor Day』とも呼ばれ、世界中の多くの国々がこの日を祝日としている。

著者:  原井シュウジ

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